猫引きこもりの理由が切ない

「猫をうちに迎えて3週間、
全然、出てこないのだけれど…」

と、レスキューメールが
飛び込んできました。

初めて猫さんを飼うことになったそうで、

どうしていいものか、
このまま放置でいいものか、
何をどうすればいいのか、
全然、わからない!!

あら~ それは、猫さんも
飼い主さんもストレスな毎日でしょうと、
ご相談に乗ることになりました。

写真を送っていただくと、
予想通り、黒猫さんが、そこには
写っていました。

ベッドの下の荷物の陰から、
こちらの様子をうかがう1匹の猫さん。

その写真を見れば、警戒心バリバリの
状態だと容易にわかります。

三週間もハンガーストライキだなんて、
何があったのでしょう。

理由なく、引きこもるはずがありません。

飼い主さんに詳しくお話を聞かせて
いただきました。

現在、そのコと飼い主さん(女性)の
一人と一匹暮らし。

初めての猫さんとの暮らし。

ブリーダーさんから譲り受けた
マンチカン、6歳のオトコノコ。

写真では、黒猫さんに見えてたけれど、
グレーなのだそう。

家具の下に隠れているから
黒く写っていたようです。

ゴハンは、ようやく鰹節のオヤツを
少し口にするようにはなったけれど、

チュールにさえ、見向きもしない。

さて、あなたなら
どうしますか??

まず、わたしがやったのは、
そのコに伝えること。

「あなた、すごく美しい猫さんね。

立派な猫さん。

ステキね~

そんなステキなのに、どうして姿を
見せてくれないのかな?

立派な姿、りこちゃんも見たいよ」

そんなところから、徐々に心の距離を
縮めていきました。

そして、何があったのか、
事の経緯を教えてもらいました。

まず、わかったのは、
飼い主さんと新居が
問題ではなさそうということ。

問題の根源は、元のお家。

つまり、ブリーダーさん宅。

そこで、何があったのでしょう?

さらに深堀りをしていきました。

どうやら、数年前に去勢手術を
されたよう。

多くのケースと同じく、
本猫に知らせることなく。

気付いたら、
オトコじゃなくなってた。

でも、家では、オス猫が、
幅を利かせてる。

心はポッキリ…

さらに追い打ちをかけるような
事件が起きた。

オス猫が、ちょっかいをかける。

上から覆いかぶさるように
高い所から、飛びついてきた。

完全に心は折れた。

これが、わたしがそのコから
教えてもらった事の経緯。

飼い主さんに伝えると、
こんなことを教えてくださいました。

ブリーダーさん宅でも、
超ビビリだったそうで、
貰う時に、

「このコ、ビビリだけど、
いいの?」

と念押しされたそう。

そして、被毛や顔立ちは、
とても美しいそう。

警戒心については、最初は、
それほどでもなかったのに、
だんだんひどくなっていってたらしいから、

その去勢手術がきっかけというのも、
あながち間違ってないのかも。

ということで、
原因は概ね掴めました。

原因を知った上で、
どう対処するか…

これから、新しい家は、ここであり、
新しい飼い主さんは、
今一緒に居る人であること。

他に猫さんがやってくることは、ないこと。

だから、出て来ても、
いきなり襲われることはない事。

状況については、こう説明しました。

そして、彼の心を癒すところにも
アプローチしてみました。

「アナタは、立派な猫さん。

すごく自信にあふれてたよね。

なのに、アナタに相談することもなく、
人間の都合で、勝手に手術してしまって、
ごめんなさい。

ショックだったよね?

他のコにエラそうにされて、
すごく傷ついたよね?

ごめんね。

許してね。

これからは、もうアナタが、
傷つくようなことは
しないように、

アナタの新しいパートナーに
伝えておくから。

安心して暮らしてね。

アナタがずっと立派な
猫さんでいられるように、
ゴハンも食べてほしいよ。

アナタは、今でも、かっこいい
ステキなオトコだよ。

変わらず、立派だよ」

PC画面の向こうで、
飼い主さんは、涙を流しながら、
このやり取りをお聞きになっていました。

飼い主さんには、
しっかりお願いをしました。

「今、猫さんに伝えたこと、

約束を破らないようにしてください」

その日の午後、3週間にして初めて、
家具の陰から、姿を現したそうです。

引きこもり生活は、これで終わり。

ここからは、
新しい猫生を歩んで
いかれることでしょう。

辛い時期があったからこそ、
新しい飼い主さんとの関係が
親密になる可能性も。

たった30分のセッションで、
数年来の猫さんの苦しみは、
解放されました。

どうぞ、人間目線ではなく、
それぞれのコの目線で、
彼らの気持ちを汲み取って
やってください。

それと、少なくとも、
一緒に暮らす動物の習性を
よく知ってください。

よろしくお願いします。