お空へ還る前に夢に立ち寄ってくれたモフモフさん
夢を見た。
とってもリアルな夢だった。
真っ黒いモフモフのワンちゃん。
お顔は見えない。
この姿に心当たりがあった。
頻繁に会うコの中に黒のモフモフちゃんは2頭いる。
うむ? どっち??
夢の中で考えた。
「りこさん、ありがとうございました」
この口調から、すぐに判った。
「あっ、こたちゃん。。。」
そして、すぐに悟った。
これがお別れの挨拶だということを。
「まだ、早いんじゃないの?」
とっさに、そう口にした。
「いいえ。もう十分です」と
どこまでも丁寧な喋り口調。
「そうなのね、決めたのね」
そして、心の中でつぶやいた。
「だったら、止めないよ」
黒いモフモフの影が、すうっと消えていった。
えぇ? 今の本当??
えっ? だったら、こたちゃん、
逝っちゃったってこと??
夢の中で自問自答する。
いつの間にか、深い眠りのサイクルに落ちていった。
いつも通りの朝。
愛犬に起こされ、飲み水を用意し、
Wi-Fiのコンセントを差し、スマホの電源を入れる。
ほどなくして、Facebookメッセンジャーが着信音を告げる。
「りこさん、こた逝っちゃいました。
たくさんお世話になりました。
ありがとうございました」
今朝の夢を思い出した。
夢はめったに見ない。
そして、リアルな夢の時は夢じゃないことも思い出した。
あぁぁぁぁ
なんてこと。
本当だった。
物腰柔らかく、いつも丁寧なママのコらしく、
そして、律儀で恩義があって・・・
内側から、グワ〜ンと涙が湧き出てきた。
あぁ、逝っちゃったんだ
本当に逝っちゃったんだ
しばらく、感情をあふれるままに自由にさせた。
もっと早くに何かお手伝い
できることがあったんじゃないかな・・・?
もっと早くに、サロンでの治療に
声掛けすれば良かったのかな?
もっと、もっと、もっと・・・
こんなことを思ったって、現実は変わらないどころか、
もういくと決めたこたちゃんの魂を
引き留めるような行為だということはよくわかっていた。
飼い主でもないわたしのエゴだということも。
それでも、いろんな感情といろんな思考が渦を巻く。
そして、思った。
ママは大丈夫なのかな?
大丈夫なはずはないのだけど、
次にやって来た気がかりは飼い主さんご本人のこと。
一人と一匹暮らし。
わたしと同じ。
ぽつんと、ひとりぼっち。
ぽっかりとハートに穴が空くんじゃないかな?
その哀しみを共有できる人を持っている人は、まだいい。
人は、自分の大切にしているものを
共有できないどころか、
否定されたり、受け入れられない時にはとてつもなく辛い。
それが、喪失の哀しみと共に
やってくるのかと思うと、壮絶に違いない。
せめて、その大切なものを一緒に大切に想いたいと思う。
その日の夕方、こたちゃんのご遺体と対面できた。
小さな箱の中で、眠るこたちゃん。
お顔は穏やかだった。
残された者への、せめてもの救い。
モフモフを撫でながら、たくさん話しかけた。
亡骸とは、よく言ったもので、モフモフの中身は空っぽ。
こたちゃんの声は、近いけれど、
違うところから感じる。
そして、なんだか一仕事終えたような、
そんなスッキリした感覚もやってくる。
短くても駆け抜けたのだと感じた。
ずっとずっと、なでなでしながら、
見ていられたけれど、気持ちを切り替えた。
「こたちゃん、また、いつかどこかで逢おう!
アナタに出逢えてよかった。
アナタのその恩を忘れない精神。
わたしは忘れかけていたかも。
わたしも、これまでに助けてくれた
人たちをもう一度思い出して、
御礼と感謝を伝えることにするね。
ありがとう!」
こたちゃんは、今日の午後、土に還っていった。
最期の最期まで幸せなコ・・・
たくさんの光を贈ります。